会社の規模にもよりますが、一般的に譲渡金額が大きければ大きいほど課税される金額も高くなるので、これから事業譲渡を考えている人は、税金に対する知識も身に付けておきましょう。そこで、この記事では、事業譲渡を行う際にどのような税金が発生するかについて紹介します。

事業譲渡に関係する税金の種類

事業譲渡に関係する税金は、買い手企業が売り手企業に支払う消費税と売り手企業が支払う法人税の2種類です。法人税は売り手企業が売却代金を受け取った結果、売買する事業の純資産を超えた部分が課税対象となります。つまり、売却する事業の資産が負債の総額を超えた売却益となった場合に課税対象となるのです。

一方、消費税は譲渡される事業に課税対象となる資産が含まれている場合に発生します。たとえば、有形固定資産や無形固定資産、棚卸資産などは課税資産とみなされますが、土地や有価証券、債権は非課税資産とみなされるので、消費税は課されません。

つまり、事業譲渡における消費税は対象となる事業のなかに、課税資産がどれだけ含まれているかによって変わります。事業譲渡の買い手側は事前にどれぐらいの課税資産があるのかを把握しておくことが大切です。

課税資産と非課税資産の違いを押さえておく

事業譲渡にあたっては課税資産と非課税資産の違いを押さえておくことは重要です。なぜなら、買収対象となる事業にどれぐらいの課税資産があるのかを把握しておかないと、思いがけず高額の消費税を納めなくてはいけないケースもあるからです。

具体的に課税資産に含まれるものを挙げると、建物や車両運搬具、機械装置といった「有形固定資産」、特許権や意匠権、商標権などの「無形固定資産」があります。ただし、有形固定資産のなかでも、土地は課税資産には含まれません。そのため、土地は消費税の計算から除外できるので、建物と分けて資産価値を計算するようにしておきましょう。また、非課税資産のなかには、有価証券や債権(売掛金など)も含まれ、消費税の課税対象外です。

課税資産として忘れてはいけないものには、そのほかにも棚卸資産やのれん代(営業権)が挙げられます。棚卸資産は商品の在庫などから算出することができますが、のれん代はブランド力やノウハウといった抽象的な資産価値であり、決算書には反映されません。そのため、価値の算出は難しいものがありますが、一般的には営業利益や経常利益の3~5年分とするケースが多いです。(のれん代を課税資産ということはありませんが、こののれん代を含めて、事業譲渡の金額として取り扱われています。)

のれん代について注意すべきポイント

課税資産を算出する際に注意しておきたいのが、のれん代です。なぜなら、のれん代はブランド力などを資産価値として算出するため、営業利益などのような数字に直接換算できる指標がなく、客観的な判断が難しいからです。ブランド力やノウハウは企業の持つ目に見えない力であり、業種や業界におけるシェア率などによっても異なるため、相場というものは特に存在しません。ただし、目安とされている指標は存在しており、営業利益もしくは経常利益の3~5年分で計算するのが一般的です。

のれん代としてブランド力が高く評価されることは一般的にメリットですが、事業譲渡においては課税される消費税が高くなるため、あまり嬉しいものではありません。消費税が高くなると、手元に残る資金が少なくなってしまいます。そのようなときは、消費税が課税されない株式譲渡などの事業譲渡以外の方法を検討してみるのもひとつの選択肢です。

棚卸資産の変動に気をつけておく

課税資産として判断される資産のなかで、計算する時期によって変動しやすいのが棚卸資産です。棚卸資産とは会社が販売目的で保管している商品や仕掛品、原材料の在庫を指します。例えば、商品が売れたり、注文を受けて製造したりすることで棚卸資産は減少しますが、新しく商品や原材料などを取り寄せれば増加します。
つまり、棚卸資産の評価額は日々増減するということです。そのため、あらかじめ金額を算出しても、事業譲渡を実際に行う日の資産価値を正確に把握することは不可能でしょう。棚卸資産が変動することで、課税資産も変動し、支払わなくてはいけない消費税も変わってきます。特に多額の棚卸資産を保有している企業の買収を考えている事業者はそういうことがあることを覚えておきましょう。

消費税率の変更にも意識を向けておく

消費税の課税対象となる課税資産の額は日々変動しますが、忘れてはいけないのは消費税率も変動する可能性があるということです。消費税は1989年に税率3%から導入されましたが、段階的に引き上げられ2019年10月には一部食品などを除いて10%に引き上げられる予定(2019年3月時点)です。消費税が引き上げられている要因はさまざまですが、膨らみ続けている医療や介護といった社会保障コストや教育無償化の財源などに充てられる予定です。つまり、消費税は社会情勢や経済情勢の大きな影響を受けて決められるものであり、次にいつ変更されるかは分かりません。

支払う税金も考慮して事業譲渡を考えよう

事業譲渡には法人税や消費税といった税金が発生することがあります。課税される金額は買収される企業の価値によって異なりますが、基本的には資産価値が高いほど支払う税金も高くなります。資産価値の高い会社の事業譲渡ほど高い税金がかかるので、支払う税金についてはしっかりと検討したうえで、タイミングを見定めて話を進めていきましょう。

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