新しく会社を立ち上げたり、異業種業界に参入したりする際に、「既存の会社を買収する」という選択をとる企業は少なくありません。実際、新規事業の立ち上げには、さまざまなリスクが伴います。既存の会社を買収することで、軽減できるリスクだったり、得られるメリットというのは非常にたくさん存在する反面、注意しておかなければならないことや、デメリットが発生するのも事実です。今回は、会社を買収することで得られるメリットや注意点を詳しく解説していきますので、是非参考にしてください。
会社の買収によって得られるメリット
会社を買収することによって得られるメリットについてですが、まずひとつ目に挙げられるのが、「売上や信用力の向上、市場シェアの拡大ができる」という点です。新しく事業を立ち上げる場合、顧客の信頼を一から育て上げるのは、大変な時間と労力がかかってしまいます。
また売上に関しても、古参企業の中に混じって結果を残すとなると、非常に高い壁が立ちはだかります。会社を買収すれば、ある程度成熟された状態の売上と信用力を確保した上で事業を始められるだけでなく、高い市場シェア率を獲得することも可能になります。
また、「買収先の会社が保有する商品やサービス、技術を取り込むことができる」という点も非常に大きなポイントです。買収先の技術を取り込むことができれば、技術開発の時間を省いたり、自社の弱点を買収先の技術で補ったりすることができるので、非常に効率的です。
さらに、将来有望な若手優良企業を買収すれば、相手の技術力と自社のサービスと掛け合わせて、今までになかった全く新しい事業展開を実現させることだって可能になります。
新規に事業を立ち上げるのはさまざまなリスクが伴いますが、会社を買収すれば手間やコストを省くことができ、大幅にリスクを軽減することができます。また、必要な設備や従業員も買収先からそのまま引き継ぐこともできるので、スムーズに事業を展開していくことが可能となります。
会社を買うときに気をつけておきたい点
メリットをたくさん紹介しましたが、注意点もいくつか存在します。会社を買うということは、買収先の資産だけでなく、負債も引き継ぐことになります。特に簿外債務や偶発債務などは買収時点では把握しづらいものであるため、後からトラブルに発展してしまう恐れがあります。
貸借対照表などの帳簿上の情報だけを見るのではなく、しっかり対話を重ねて買収企業の財政状況を把握すること、そして偶発債務が発生したときに備えて、買収前にあらかじめ調査を綿密に行っておく必要があります。
また、会社を買収することで先に述べたような相乗効果が期待できるというメリットはありますが、会社同士の風土や経営方針が合わないと、従業員が流出してしまうリスクがあることも頭に入れておかなければなりません。それまでの苦労を共にし、理解し合える貴重な従業員を失ってしまっては、事業の継続に影響が出てしまいます。そういうことが起こらないためにも、会社を買収する際には、自社の考えや将来のビジョンを入念に伝えるなど、従業員に対する事前説明を行い、モチベーションを低下させないように努める必要があります。中には不安を抱く従業員もいるので、それぞれの思いをしっかりリサーチし、心配している従業員がいるようであれば、話を重ね、不安を解消してあげなければなりません。
相場についてきちんと押さえておこう
会社の買収においては、価格の相場をしっかり把握しておくことも非常に大切です。会社の評価額はさまざまな要素が重なり合って決まります。業種や規模はもちろんのこと、時代によって異なるトレンド、希少性、そして会社の業績、地域、取引先、財務、売上高、さらには業界別のM&A動向など、評価は常に流動的に変化していきます。一般的な価値観で正確に評価をするのはなかなか難しいことなので、専門家に算定してもらうのがベターな選択だと言えます。
特に、業界再編が進行中の業界は、M&Aも非常に活発になり、価格の算定も複雑になります。
買収する目的を明確にしておく
会社を買収する前段階として、買収する目的を明確にしておく必要があります。目的がはっきりしないまま会社を買収してしまっては、事業を継続することができなくなって負債を抱えたり、買収企業とのトラブルに発展したりと、その後の問題を引き起こすことにもつながってしまいます。
会社買収に際しては、はっきりとした目的を持ち、相手にもそれを明確に伝えてあげることが、双方にとって意味のある結果を残すことになるので非常に重要です。買収を行なうことで、自社と相手企業にそれぞれどのような影響をもたらすことになるのか、異業種参入を考えているのであればその業界の現状はどうなのか、そして何より自社の業績を向上することができるのかなど、ありとあらゆる可能性を検証しておく必要があります。「自社企業の弱点を補う」「自社の技術で若手の有望会社を盛りあげる」など、目的を明確にするのが大切な上、実現可能な目的を掲げるためにも、さまざまな角度からのリサーチすることが大切です。
リスク回避のためのデューデリジェンス
会社を買収することに対するリスクを回避するためにも、「デューデリジェンス」と呼ばれる詳細な調査を売り手企業に対して行うことが重要です。デューデリジェンスとは、企業の資産価値、買収されることで予想されるリスク、収益性などを適正に評価・査定することです。
リスクはいろんなところに潜んでいるため、簿外債務の存在だけでなく、訴訟リスクや税務面でのリスクについても調査を行っておかなければなりません。
そして、その調査の対象はかなり広範囲に渡るため、自力で行うには限界があります。少しでもリスクを軽減させるためには、弁護士や公認会計士、税理士などの専門家に依頼することが一番です。あらかじめそのような専門機関に依頼しておけば、実際にトラブルが起こってしまったとしても、アドバイスを請いながら円滑に問題を解消することができるので、精神的にも安心して事業を進められます。
会社を買収する具体的な方法
会社を買収する方法はいくつか存在します。その具体的な例を紹介しましょう。まずひとつめの方法として、「株式譲渡」が挙げられます。株式を譲渡してもらう対価が準備できれば、基本的にはそれを支払うだけで済むので、手続きも非常にシンプルなのが特徴だといえます。しかし、会社を丸ごと買い取るということは、自社にとって不必要な事業や、簿外債務、賠償義務なども全て自社が背負いこむということになります。事前の調査を怠って株式譲渡を行なってしまうのは大きなリスクが伴うので、より慎重な調査・判断が必要になります。
次に「事業譲渡」という方法があります。事業譲渡は、売り手企業の全部もしくは特定の事業だけを選んで買収する方法で、買い手企業は必要な事業だけを買収できるメリットがあります。これによって、簿外債務や賠償義務など余計なものを抱え込む必要はなくなります。ただ、株式譲渡とは違って、契約関係や許認可はそのまま引き継げないため、新たに契約を結び直す必要があります。また、事業譲渡では、売り手側の譲渡益に対して約30%ほどの法人税が課せられるので、譲渡益が多いほど税金の負担が大きくなります。つまり、大企業は税金の負担が大きく、その業務も煩雑になるというデメリットがあります。そのため、事業譲渡は大企業よりも中小企業に用いられるのが大半となっています。
個人でも会社を買収することはできる
「会社を買収する」と聞くと、非常にスケールが大きくあまり関係ない話のように感じますが、会社の買収は会社同士だけでなく、個人でも行うことができます。会社員が退職後のライフプランとして買収したり、起業の一つの選択肢としたり、そのシチュエーションも個人によってさまざまです。小さな会社であれば、たとえ個人であっても無理のない金額で買収することが可能なので、資産運用の一環として会社を買収するという選択をとる人は実際に少なくありません。飲食店や製造業など、個人でも買収のリスクが少ない会社はたくさん売り出されているので検討してみるのもいいでしょう。
売り出されている会社の情報は、マッチングサイトや事業引き継ぎセンター、M&A専門会社などを利用することで得ることができ、会社を買収するハードルはそこまで高くありません。
売りに出されているということは、それなりに問題を抱えているからだと考える人も多いですが、企業にはそれぞれの事情があり、必ずしも問題を抱えているからという理由で全ての会社が売りに出されているわけではありません。中には、業績はとても安定しているのに後継者が不在のために、誰かに買ってもらわないとせっかく順調に運営を続けてきた会社も畳まざるを得なくなってしまうといった切実な悩みを抱えているケースも存在します。
そのような会社を買収するのであれば、買い手はリスクを最小限に抑えることができ、売り手も悩みを解消できるという、双方において非常にメリットのある売買が実現できます。個人の会社買収では、特にリスクを抑える必要があるので、こういった致し方ない売却の事情を抱えた会社を買収するという人も多いです。
慎重に判断する姿勢を持とう
以上、会社を買収することで得られるメリットや注意点を挙げてみました。お伝えしたとおり、メリットがたくさん得られることも確かですが、少なからずデメリットが存在しているのも事実です。買収の成果を出すためには、買収する目的を明確にしたうえで、慎重に判断していくことが何より大事ですが、確実に成果をあげるためにも、会社や事業を買収する際はプロフェッショナルの力を借りるのが一番です。福岡にあるSKC会計グループのSKC北九州M&Aセンターに相談すれば、買収に関する不明点・悩みなども的確にアドバイスのもと、スムーズに解消してもらうことができます。会社の買収を考えている方は、一度相談してみるといいでしょう。
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